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【5分でわかる!地震に強いマンションの見分け方】

こんにちは。ビスタの津嶋です。
今回は地震に強いマンションの見分け方についてまとめてみました。

建物が地震に対する強さを測る上では耐震性という基準をつかいます。
地震の多い日本ではこの耐震性を無視して住宅を選ぶことはできません。

耐震性の心配をされる方は、木造の一戸建てを検討されている方に多い傾向ですが、耐震性はマンションでも決して無視することはできない重要なファクターです。
「うちは鉄筋コンクリートのマンションだから大丈夫」は少し安易な考え方ですので、しっかりと知識を持ってマンション選びにお役立てください。

【これだけは覚えて!旧耐震基準と新耐震基準】

建物を建てるときには、建築基準法という建築物に対する最低基準を定めた法律を守る必要があります。
耐震性については、この建築基準法に記載された「耐震基準」に適合することが求められます。
最低基準であっても、震度6〜7の大規模地震で倒壊の恐れはないとされています。

ただし1981年5月以前に建てられた建物は「旧耐震基準」とされ、現行の「新耐震基準」をクリアしていません。
加えて時おり世間を騒がすように、新耐震基準であっても、地盤の固さや建物がどのように造られているかによって、耐震性には疑問符のつくケースがあります。

【地震に強いマンションは地盤・構造・メンテナンスで見分ける】

1.地盤

建物が建つ地面のことを「地盤」と呼びますが、もう少し分けると、建物は基礎の上に建てられ、その基礎が地盤の上に設けられます。
そのため、地盤がしっかりしていないと、どんなに強固な基礎を造ってもあまり効果はないといえます。

耐震性を考える際には、建物を建設する地盤が非常に重要なポイントです。
地盤は固い岩盤型の方が、建物に伝える振動が少なくなるとされています。
ハザードマップを見ても、地震被害の大きさも地盤が固い方が少なく、地震による被害の恐れも少ないとされています。

たとえば、「液状化」という現象があります。
これは地盤の固さを表すN値が20以下の砂地盤で起こりやすく、液状化すると基礎が沈み傾くことで倒壊のおそれがあります。
海岸や河口付近、埋立地、地下水位が浅い場所などで起こりえます。

液状化発生のメカニズムは、強い揺れによって、それまで結合していた水分を含む砂の粒子がバラバラになり、水に浮いた状態になることによって地表面の沈下を起こします。

軟弱な地盤の上に建っている中高層マンションの多くは、建物をしっかり支えるための杭が地中深くの岩盤層まで打ち込んであります。
この上に基礎を設けることで安定化しているという構造です。

それでもこの杭が長ければ長いほど、耐震性が低下するリスクがあります。
杭というのは垂直方向からの力には強いですが、地震のように横揺れの水平方向から働く力には強くありません。
杭は長ければ長いほど折れやすく、実際に過去の大震災でも杭がポッキリ折れてしまっていたケースがありました。
20メートル以上深く杭を打たなければならないような地盤は、一度疑ってみる姿勢は必要です。

さらに埋立地などの軟弱な地盤に建っているマンションの場合であれば、建物自体に問題はなくとも、周辺道路が液状化することで交通が遮断され、孤立してしまう危険性があります。
直接基礎と呼ばれる、岩盤層に基礎を設置している建物が安全性としては高くなります。


2.建物の構造と形状

マンションは大きく分けて2つの工法で建てられます。
ひとつが「ラーメン構造」と呼ばれる工法で、ドイツ語で「枠」という意味を持ちます。
決して食べる方のラーメンではありません。笑

ラーメン構造は、垂直方向に建つ「柱」と、柱をつないで水平方向にかけられる「梁」で長方形を構成します。
イメージとしては公園のジャングルジムを思い浮かべて、壁を取り付けたものが構造としては近いです。
柱と梁のフレームで建物を支え、室内に動かせない耐力壁が出ないため自由な空間をつくりやすくなります。将来リフォーム・リノベーションする際にも間取り変更の自由度が高い点がメリットです。
低層から高層建築物まで幅広く対応できるのが特徴です。

一方の「壁式構造」は、床・天井・四方の壁と合計6枚の壁で空間を構成する構造です。
柱や梁ではなく、壁で建物を支えるため、室内が凸凹のないスッキリとした空間になります。
逆に壁で建物の耐力をとっているので、リフォーム・リノベーションの際の間取り変更は自由度が下がります。
自重が増すため高層には不向きで、主に5階建て以下の低層マンションで採用されています。


ラーメン構造は柱と梁で構成されているため、地震の際には接合部に強い負荷がかかります。
壁式構造は面で建物を支える分、地震に強い構造で、過去の大震災においても被害がほとんどでなかったとされています。
また、建物全体の形としては、シンプルで対照的な構造の方が耐震性は優れているとされています。
耐震性の観点からすると箱型が最も地震に強いマンションの形状となります。


3.メンテナンス

築数十年経っているマンションを購入する際に、建物の耐震性を不安に思われる方が多いです。
しかし単純に古ければ古いほど耐震性が低下するというものでもありませんので、その点はご安心ください。
適切なメンテナンスにより、経年劣化の影響を抑えることは十分に可能です。
定期的にメンテナンスや耐震診断が行われ、劣化部分を特定して補強工事が行われていれば耐震性に何ら問題はありません。

購入の前に、マンションの重要事項調査報告書を必ず取得しましょう。
こちらの書類では耐震構造や工事履歴、修繕積立は滞りなくされているかをチェックすることができます。
建物を実際にご自身の目で見てチェックするというのも安心のために良い手段だと思います。
鉄筋コンクリート造の建物では細かなひび割れは想定内の現象とされていますが、長らく放置されているケースは危険です。

施工時のコンクリートの内部は強アルカリ性になっていて、鉄筋をサビから守っています。
しかし年月とともにコンクリートの表面やヒビから空気中の二酸化炭素や雨水などが侵入した結果、徐々にアルカリ性から中性へと変化していきます。
これを「中性化」と呼びますが、この中性化が進むと、内部の鉄筋が錆びて体積が膨張し、周りのコンクリートを押し出す「爆裂」現象を引き起こしてしまいます。

この爆裂によってコンクリートと鉄筋が分離すると、コンクリートの表面が剥がれて崩落する危険性だけでなく、建物の耐震性を著しく低下させてしまうので、マンションではこのような現象が起こらないよう定期的なメンテナンスが不可欠となっています。


【まとめ】

マンションの主流である鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年とされています。
よくある誤解ですが、この耐用年数=建物の寿命ということではありません。

法定耐用年数は、あくまで賃貸業などを営む事業者が減価償却費を計算するために用いる数字であり、実際の鉄筋コンクリートマンション造の寿命は65年以上とも100年以上とも言われています。
どのような地盤の上に立ち、どのような構造・形状で建てられ、いかに適切にメンテナンスされているかによってマンションの寿命は数十年単位で変わってきます。

地震に強いマンションを見分けることは、家族の命を守り、資産を守ることに繋がっているのです。
マンション選びでは、ご自身が基礎知識を身につけた上で、正しい知識を持ったプロの不動産仲介業者を選びましょう。

以上、ビスタの津嶋がお届けいたしました!
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