鋼構造物工事業とは?
そもそも鋼構造物工事って?
鋼構造物とは、鉄骨が使用されている鉄骨造り(S構造)の建物や鉄塔、鋼構造の橋梁・鋼橋(鋼道路橋・鋼鉄道橋など)、鋼製水門や起伏ゲートなどの河川管理施設、ガスタンク、風力発電のプロペラ塔など、主要な部分が鋼材である構造物のことです。
特徴は鋼材単独で構造体になっていること。
鉄筋コンクリート造り(RC構造)や鉄骨鉄筋コンクリート造り(SRC構造)のように、コンクリートの中に埋め込まれた鉄筋や鉄骨の場合は鋼構造物には含まれません。
鋼構造物工事業って具体的にどんなもの?
鋼構造物工事業とは、形鋼・鋼板等鋼材の加工または組立てにより工作物を築造する工事を担う業態を示します。
鋼構造物工事業の工事例として、鉄骨工事・橋梁工事・鉄塔工事・石油やガスなどの貯蔵用タンク設置工事・屋外広告工事・閘門(こうもん)水門などの門扉設置工事などが挙げられます。
工事例のうち「鉄骨工事」で注意したいのは、「とび・土工・コンクリート工事業」における「鉄骨の組み立て工事」との違い(区分)です。「とび・土工・コンクリート工事業」の「鉄骨の組み立て工事」は、既に加工された鉄骨を現場で組み立てることのみを請け負う工事であり、「鉄骨とび」と呼ばれる技術者が鉄骨の組み立てを担当します。
「鋼構造物工事業」の「鉄骨工事」とは、鉄骨の製作・加工から組み立てまでを一貫して請け負うもので、「鍛冶工」や「鉄骨工」と呼ばれる技術者が鉄骨の製作や加工をし、溶接によって組み立てられます。
また、「とび・土工・コンクリート工事業」における屋外広告物設置工事と「鋼構造物工事業」の屋外広告工事との違い(区分)は、鋼構造物工事の「屋外広告工事」は現場で屋外広告物の製作・加工から設置までを一貫して請け負うものであり、それ以外の工事は「とび・土工・コンクリート工事業」の「屋外広告物設置工事」になります。鋼構造物工事業は規模の大きい看板屋さんの仕事も兼ねるといったところでしょうか。
鋼構造物工事業の建設業許可を取得するには?
鋼構造物工事業の建設業許可を取得するには、経営業務管理責任者や専任技術者がいることなどの建設業許可要件(29業種共通)を満たす必要があります。
鋼構造物工事業における専任技術者になるには、鋼構造物工事業の専任技術者としての資格を持っている人、指定学科を卒業し、鋼構造物工事の実務経験のある人(学歴によって実経験の年数が異なる)、鋼構造物工事業の実務経験が10年以上の人のいずれかに該当しなければなりません。
鋼構造物工事業の専任技術者になるための資格は、1級土木施工管理技士・2級土木管理施工技士(土木)・1級建築施工管理技士・2級建築施工管理技士(躯体)・1級建築士。
または、技術士法に基づく技術士資格の建築「鉱構造物及びコンクリート」・総合技術管理(建設「鉱構造及びコンクリート」)。職業能力開発促進法に基づく技能士資格の鉄工(選択科目「製缶作業」または「構造物鉄工作業」・製缶などです。
鋼構造物工事業に関する資格は?
鋼構造物工事業の専任技術者になるための資格ではありませんが、土木鋼構造診断士・土木鋼構造診断士補という資格をご紹介します。
土木鋼構造物診断士・診断士補は、一般社団法人日本鋼構造協会が認定する民間資格で、土木鋼構造物の診断や検査を行う資格です。平成27年には、国土交通省の技術者資格(橋梁)として登録されました。鋼構造物は橋梁だけでなく幅広い施設分野に使用されているため、今後は必要に応じて拡充されることが期待されています。
受験資格として関する工事に対する実務経験が必要とされておりますが、学歴や資格取得状況によって、必要とされる経験年数は変動します。大卒(土木工学課程)の人は7年以上の実務経験、土木鋼構造診断士補は資格取得後3年以上。高卒(土木工学課程)の人は11年以上の実務経験、土木鋼構造診断士補は資格取得後5年以上。その他の学歴は実務経験が13年以上必要になります。
土木鋼構造診断士補の受験資格は、大卒(土木工学課程)の人は1年以上の実務経験、高卒(土木工学課程)の人は3年以上、その他の学歴は5年以上の実務経験が必要になります。
(参考)
国土交通省 http://www.mlit.go.jp/
一般社団法人日本鋼構造協会 http://www.jssc.or.jp/