鉄筋工事業とは
そもそも鉄筋工事って?
鉄筋とはコンクリートの中に埋め込まれている、かご状の筋の事をさします。アパートやマンションの構造でRC構造という言葉を聞いたことはないでしょうか?RC構造というのが、鉄筋コンクリート構造を指します。さらに鉄骨と鉄筋コンクリートを併用したSRC構造というのもあり、こちらは主にビルなどの高層建物に用いられる事が多いです。
鉄筋はコンクリートの中に埋め込まれて利用されますが、鉄筋のコンクリートの埋め込みは工事現場で行われます。ただし鉄筋を作るためには事前に鉄筋の種類や数量を算出し、事前に工場での鋼材の切断・加工が必要になります。
つまり鉄筋工と呼ばれる職人さんは設計から製造、組立まで一貫して関わることになります。
鉄筋工事業ってどんなもの?
鉄筋工事を行うためには、建設業許可業種に定められた鉄筋工事業の許可が必要になります。
鉄筋工事業の工事としては、建設事務ガイドラインは鉄筋加工組立工事と鉄筋継手工事の2つを例示しています。鉄筋の継手とは鉄筋の結合の事を指し(嵌合とも呼ばれます)、継手の種類も重ね継手、ガス圧接継手、溶接継手、機械式継手など複数あります。鉄筋工事の流れはまず現場で取り付けるための施工図の作成を行い、工場で鉄筋の加工を行います。そして工場から現場に送られた鉄筋を、施工図を元に責任者の指示のもと配筋をしていきます。その後前述の継手を行い、鉄筋をつなぎ合わせます。そして鉄筋を結束し、コンクリートに覆われる前に検査を行います。コンクリートに覆われてしまうと、鉄筋は見えなくなってしまいますが、鉄筋の配置は建物の強度に直結する工程です。ですので、手早く正確に配置した上で、しっかりと検査を行う事が重要になります。
鉄筋工事業の建設業許可を取得するには?
鉄筋工事業の建設業許可を取得するためには、特定の資格認定を得た専任技術者が必要となります。
建設業法では1級建築施工管理技士、2級建築施工管理技士(躯体種別)が該当します。
また職業能力開発促進法の技能検定では、鉄筋組立・鉄筋施工(選択科目で鉄筋施工図作成作業と鉄筋組立て作業の終了が必要)が該当します。
このうち1級建築施工管理技士については、特定建設業の専任技術者となることができます。
鉄筋工事業に関する資格や協会って?
公益社団法人全国鉄筋工事業協会では、技術指導や技能者講習、全国鉄筋技能大会の実施などを通して、鉄筋工の技術向上の取り組みを行なっています。
また公益社団法人で日本鉄筋継手協会というものもあり、継手の奥の深さをうかがわせます。同協会では工事の標準仕様書なども発刊しており、継手のスタンダード化に貢献されています。
その中でも特筆した取り組みとしては、全国鉄筋技能大会が他の建設許可業種と比べても非常にユニークです。こちらは2017年でまだ2回目の開催ではありますが、「TETSU-1 GRAND PRIX」というキャッチーな名称で、2017年は幕張メッセで開催されました。(鉄筋EXPO内の特設会場)競技課題も非常に実務的で、与えられた仕様に従って、基礎・柱・はりの鉄筋組立て作業を行います。
建設業に従事する職人さんは資格の認定を除くと、現場での作業以外にスキルが可視化されづらい状況にあります。普段の現場で培ったスキルが発揮されるこのような場作りは技術の向上はもちろんですが、今後のモチベーションいも繋がっていくことでしょう。非常に面白い取り組みでこれからのさらなる盛り上がりが楽しみですね。
(参考)
国土交通省 http://www.mlit.go.jp/
公益社団法人全国鉄筋工事業協会 http://www.zentekkin.or.jp/
公益社団法人日本鉄筋継手協会 http://www.tekkin-tsugite.or.jp/