大工工事業とは
そもそも大工ってどんなもの?
大工とは日本標準職業分類によると、「家屋などの築造・屋内造作などの木工事の仕事に従事するもの」と定義されています。 おそらくほとんどの方が「大工さん」という呼称を聞くと戸建住宅の建築などをイメージするかと思いますが、その通りで主に関わるのは木造住宅の新築・補修になります。 ちなみにですが◯◯大工と呼ばれる職業も多くあります。 例えば宮大工は神社仏閣などの修復保存をすることを仕事としており、船大工であれば船舶の建造や補修に関わる仕事をしています。 大工は左官職人やとび職人などと数名でのチームを組んで建築の作業をすることがほとんどで、そのチームでのチーフないしはマネージャーとしての役割を担う者は棟梁と呼ばれます。
大工工事業って?
大工工事は主に木材の加工または取り付けにより工作物を作成、または工作物に木製設備を取り付ける工事を指します。 さらに建設業許可事務ガイドラインは、大工工事について「大工工事」「型枠工事」「造作工事」の3つ分類の例示を挙げています。(大工工事がダブっているのでだいぶわかりづらいですが。)これらはそれぞれ作業に主に用いる材料と工程により区分されており、大工工事は木材を用いて屋根や柱、梁などを施行する工事とされています。 型枠工事は建物を形作る仮設の「型枠」にコンクリートを流し込んで加工したり、成形したりする工事であり、鉄筋コンクリート造の中高層建築物に関わることが多いです。 また型枠工事に携わる大工を型枠大工と呼ぶこともあります。造作工事は大工工事で施行する屋根や柱、梁などの主要構造部以外を、木材を用いて施行する工事とされています。 大工工事業とは建設業法第3条3項で定める28種類の建設業許可業種の1つです。大工工事を行うためには、軽微な建設工事を除き、この大工工事業の建設業許可が必ず必要となります。 なお2017年3月末の国土交通省の調査によると、大工工事業の許可取得業者数は130,932社で、とび・土木工事業、建築工事業に次いで3番目に多い業者数となっています。
大工工事業の建設業許可取得をするためには?
大工工事業の建築業許可取得のためには、経営業務の管理責任者がいることなどの共通要件に加え、建設業を営む営業所ごとに「専任技術者」を配置している事が要件とされています。 専任技術者とは、許可を受けようとする建設業に関する一定の資格または経験を有する技術者を指します。 専任技術者の要件は学歴により変動しますが、実務経験のみの場合でも10年以上の経験年数を有する事によって要件を満たす事ができます。 また、建築工事業及び大工工事に係わる建設工事、または内装工事業及び大工工事業に係わる建設工事の実務経験があり、大工工事に係わる工事に関し8年以上の実務経験を有する事でも要件を満たす事が可能です。
大工工事に関する資格はあるの?
大工工事業に関する資格に関しては、国家資格であり、中央職業能力開発協会が認定を行う「建築大工技能士」があります。建築大工技能士については、1〜3級の資格が存在し、受験資格は1級の場合「実務経験7年以上」、2級の場合「実務経験2年以上」、3級の場合「実務経験6ヶ月以上」とされております。(※職業訓練歴や学歴により、求められる実務年数は変動します。)また、それぞれの等級区分として1級からそれぞれ「上級技能者が通常有すべき技能」「中級技能者が通常有するべき技能」「初級技能者が通常有するべき技能」とされています。また近年「平成の大工棟梁検定」を一般社団法人全国古民家再生協会と一般社団法人全国新民家が主催して開始しました。日本はヨーロッパなどと比較して、古い建造物が重宝されない傾向と言われることもありましたが、専門職である大工の検定を通して、古民家の維持や技の継承に繋げようとする試みは非常に面白いものだと思います。
(参考)
国土交通省 http://www.mlit.go.jp/
中央職業能力開発協会 http://www.javada.or.jp/
一般社団法人日本建築大工技能協会 http://jptca.jp/
一般社団法人日本型枠工事業協会 http://www.nikkendaikyou.or.jp/
一般社団法人全国古民家再生協会 http://www.g-cpc.org/