とび・土工工事業とは?
そもそもとび・土工工事って?
とび(鳶)は、主に高所作業を専門とし、とび職人・とび工などの呼称の他、携わっている作業の内容から「足場鳶」「鉄骨鳶」「重量鳶」「機械鳶」などに分類されます。
建設現場では「鳶に始まり鳶に終わる」といわれているほどに不可欠な工事業です。
とびの名称は、上棟のときに梁から梁へ飛ぶ姿や、職人さんの持っている道具(鳶口と呼ばれる、先端が鳶のくちばしに似た長い棒)などに由来しているといわれています。
とび職人は主に高所作業を専門とし、建設現場でよく見かける仮設の足場組立や解体を行うのが「足場鳶」です。足場は、他の職人さんが高所作業をしやすく、安全に行えるよう組立てられるもので、責任重大な作業です。
ちなみに、仮設工事は必要に応じて仮に設けること、架設工事は橋梁を掛けるための一連の工事のことです。
土工は、土木作業員、土方とも呼ばれ、主に建築工事や土木工事の地業を担います。
ちなみに土方というのは、蔑称とされており、近年用いられるケースは減ってきています。
土工の主な作業内容は、掘削や盛り土・法面の土留・運搬・杭工事・コンクリートの打設工事など。縁の下の力持ち的な作業内容ですが、土工さんは「現場の母」と呼ばれているほど、建設工事には欠かせない存在です。
とび・土工工事業ってどんなもの?
とび・土工工事業は建設業29業種のうちの1つであり、ほとんどの建設工事の基礎工事や準備工事を担い、関わる工事の種類は多岐に渡ります。
国土交通省は工事例として、「とび工事・足場仮設工事・鉄骨組立工事・橋梁架設工事・土工事・掘削工事・発破工事・盛土工事・コンクリート工事・はつり工事・杭工事・杭打ち工事・地盤改良工事・ひき工事・ウェルポイント工事・ボーリンググラフト工事・法面処理工事・地すべり防止工事」などを挙げています。
ボーリングやウェルポイント工事など、掘削を行う工事もとび・土工工事業の工事となっていますが、井戸の掘削の場合はさく井工事業の所管となっています。
また他の業種に該当しないが、建設工事だと考えられるもの全てがとび・土工工事業に含まれています。
非常に多岐の工事にまたがる結果、とび・土工工事業の建設業許可取得業者数は29業種の中で最も多い163,849社となっています。
とび・土工工事業の建設業許可を取得するには?
とび・土工工事業の建設業許可を取得するには、経営業務管理責任者がいること、専任技術者がいることなどの建設業許可要件(建設業29業種共通)を満たす必要があります。
とび・土工工事業の専任技術者になるには、とび・土工・コンクリート工事の専任技術者になれる資格を持つ人、指定学科を卒業し、とび・土工・コンクリート工事の実務経験がある人、とび・土工・コンクリート工事の実務経験が10年以上ある人の3つの条件のうちのどれかに該当しなければなりません。
専任技術者になれる資格とは、建築業法に基づく国家資格では、1級建設機械施工技師・2級建設機械施工技師(第1種~第6種)・1級土木施工管理技士・2級土木施工管理技士(土木・薬液注入)・1級建設施工管理技士・2級建設施工管理技士。
技術士法に基づく国家資格では、建設総合技術管理(建設)・建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術管理(建設「鋼構造及びコンクリート」)・農業「農業土木」・総合技術管理(農業「農業土木」)・水産「水産土木」・総合技術管理(水産「水産土木」)・森林「森林土木」・総合技術管理(森林「森林土木」)。
職業能力開発促進法に基づく国家資格では、とび技能士・型枠施工技能士・コンクリート圧送施工技能士・ウェルポイント施工技能士など。さらに、民間資格の地すべり防止工事士・基礎工事士などです。
とび・土工工事業に関する資格や協会って?
とび・土工工事業に関する資格は多くの種類がありますが、代表的なものに「とび技能士」があります。とび技能士は、1級~3級まであり、それぞれに学科試験と実技試験があります。
1級とび技能士の試験資格は7年以上の実務経験か、2級合格後2年以上、3級合格後4年以上の実務経験が必要です(学歴によって実務経験の年数が異なります)。
2級とび技能士の試験資格は、2年以上の実務経験、または3級の合格者ですが、学歴によって実務経験が不要な場合もあります。
3級とび技能士は実務経験の必要はありません。
とび・土工工事業に関する協会は、一般社団法人日本鳶工業連合会があります。
とび・土工工事業の技術と経営の向上を目指し、昭和41年に設立されました。主な活動内容は、組織・広報対策や、経営対策、技術・技能の向上と安全対策、福祉対策などを積極的に行っています。
(参考)
国土交通省 http://www.mlit.go.jp/
厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/
一般社団法人日本鳶工業連合会 http://www.nittobiren.or.jp/