日本の伝統技術を、助け合って守っていく|MUGAWAY合同会社 大賀俊勝代表
大工さんにもお客様にも寄り添う
−−事業内容を教えていただけますか?
弊社には大工さんが多く所属していて、新築やリノベーションの建築業をおこなっています。仕事を「サブスクリプション制」にして、大工さんに工事の依頼をしたり、社内で持っている情報の共有をおこなっています。
−−建設業界では聞き慣れない言葉ですが、大工さん対象のサブスクリプションですか?
はい。大工さんが安心して仕事できるのが会費制、弊社でいう「サブスクリプション制」だと思ったんです。
大工さんには、工事の10%をサブスクの費用として弊社に納めていただきます。その分、弊社からはお仕事をきちんとお願いすることで、大工さん自身が営業活動をしなくてもよくなり、また仕事も確実にお願いするので、次の現場への不安も払拭できます。
弊社は大手を始め多くのメーカーさんの仕事を請け負っているのですが、工事のやり方はメーカーさんによって異なったりするんです。
そこで、メーカーごとの工法などを、サブスクリプションで加盟してくれている大工さんに共有することで、作業手順に関しても大工さんが安心して仕事ができるような環境や仕組みづくりをおこなっています。
−−カスタマーサービスもされていると伺いました。
お客様に寄り添える存在でいたいと思って始めました。「大工さんに頼むと高いんでしょ?」と敷居の高い存在ではなくて、困ったときに質問しやすい会社でいたいと思います。
例えば家の床がへこんでいても、直すのに時間がかかるんだろうなと思って放置しているん方もいらっしゃると思うんですよ。でも相談したら、「案外1時間で大工さん来てくれるのね」みたいな発見があります。まずは気軽に問い合わせてほしいです。
世代問わず、助け合って仕事をする
−−なぜ会社を立ち上げようと思われたのですか?
ぼくは27歳のときに結婚したのですが、当時はアルバイト生活をしていたんです。先方のお父さんから「アルバイトをしているやつには娘をあげられない!何ができるんだ?」と言われまして。
16~22歳まで大工をしていた経験があり、自分には大工しかないなと思い、2002年に開業して、2020年に法人化しました。
−−「MUGAWAY合同会社」様の社名の由来は何ですか?
「MUGAWAY」は、オーストラリアの地名なんです。実は大工から離れていたときに、オーストラリアに2年半住んでいまして。当時住んでいたのがMugawayという地でした。
ワーキングホリデー制度とビジネスビザを使って、日本人が10人くらい住んでいるシェアハウスのオーナーをしていた時期があったんです金銭的に余裕がない人ばかりが住んでいたので、彼らと助け合って生活していました。
大工の世界も、助け合ってはじめて仕事ができると思うんです。そう思わせてくれた原点の地を社名に入れました。
−−“助け合い”は、御社の職人さんの強みなのですね。
そうですね。一人じゃなにもできないので。
弊社の職人は、年配の頑固一徹な大工さんでも笑顔に溢れて仕事をしているんです。これ、弊社でしか実現できないと考えています。
長年大工をしていると、仕事に誇りを持てる反面、周りとの共有をシャットアウトしがちだと思うんです。とはいえ大工である前に一人の人間なので、人は一人では生きていけません。彼らの思いを紐解いてあげて、たわいもない話も含めてコミュニケーションを取るように心掛けています。
年配の職人は、やはりいい技術を持っていますし、反対に、若い子はパフォーマンス力を持っています。だからみんなで助け合ってほしいなと思っています。
弊社のコンセプトは、「あおいくま」と掲げているほどです。(「焦らない、おごらない、威張らない、腐らない、負けない」の頭文字)
−−笑顔で助け合って働けるように、取り組んでいることはありますか?
まず、ぼくが笑顔になることです。現場によってはむずかしい場合もあるんですが、ぼくが笑顔でないと何も始まらないですね。
コミュニケーションを大切に、短時間でいいものを
−−仕事をされるうえでのこだわりは何ですか?
経営者としてだけでなく大工としても意識しているのは、品質と工期の早さです。
今はDIYでもモノは作れますし、時間をかけたらだれでもいいものは作れます。じゃあプロは何が違うかというと、「短時間でいいものができる」ことなんです。
とはいえ焦るとミスをする場合もあるので、バランスがむずかしいですよね。弊社の若い子には、「短時間でいいものができる」よう教育しています。
−−若い社員さんが定着されている理由は何でしょう?
若い子でも一通りの作業をすべてやらせるようにしていることでしょうか。
少し怖いのですが、経営者としてそこは腹を括って、みんなでフォローしていこうという姿勢です。基礎のみを教えて、「あとは自分たちで考えてやってみて」と伝えています。
自分で考えて、わからなかったら聞いて……をくり返すと、みんなコミュニケーションがうまくなっていきます。技術をもっている職人さんはたくさんいるけど、コミュニケーションがうまくないと次の仕事は来ないので。
この前、お客さんがうちの若い職人を褒めていたんですよ。「本物の大工さんが来てくれた!」って。技術もそうだけど、対応力のたまものですね。
−−最後に、元請さんに向けてメッセージをお願いします。
弊社と取引いただくにあたって、工期と品質は必ず守るだけではなくて、何でも相談に乗れる会社でありたいと思っています。これらは徹底しておこなっているので、ぜひよろしくお願いいたします。
さいごに
大工さんとお客さんに寄り添い続ける、MUGAWAY合同会社の代表・大賀俊勝社長。MUGAWAY合同会社にご興味がございましたら、下記ページからご連絡をよろしくお願いいたします。