アスベストによる健康被害から一人でも多くの人を守るため | 株式会社トライフォースコーポレーション 伊勢常明社長

工事現場の吹き付けや建材の検体を送れば、3日で分析して安全性を確認。アスベストにかかわるサービスを提供するアスベストラボ(株式会社トライフォースコーポレーション)の伊勢常明社長に、今回お話を伺いました。
2021/05/24

アメリカならではの高品質な分析


−−アスベストにかかわるビジネスをされているのですね

アスベストによる健康被害はだいぶ知られて来たかと思いますが、そのアスベストの分析サービスを手がけています。

アスベストは、以前は耐熱や断熱などの用途で理想の建材といわれ、いろんなところで使われてきたのですが、アスベストを吸うと肺の中に結晶が残り、時を経てそれが肺がんを引き起こす可能性があります。

ところが世界的に問題視される中、日本では2005年まで部分的に使われ続けてきました。日本はアメリカ、中国に次いで、世界3位のアスベスト被害大国で、アスベストにかかわる死者は現在年間2万人にも上ると推定されています。

たいへん危険なので、古い建材などを取り扱う場合はきちんと分析して安全性を確認しなければなりません。それをおこなっているのが、私たちの会社なんです。


−−どんな形で分析を行うのですか

分析自体は、アメリカでおこなっています。日本では届出をすればアスベストの分析はできるのですが、分析結果を公的に担保する仕組みがなく、一方でアメリカではきちんと公的な認定を受けた事業者でなければ分析を行うことはできません。

当社では、試験所認定と呼ばれるISO17025の認定を受けたアスベスト専門の研究所に分析を依頼しています。

分析結果が世界水準の高品質、15万プロジェクト以上の豊富な実績であることに加えて、非常にスピーディかつリーズナブルであることも私たちの強みです。分析にかかる日数は日本だと1週間程度ですが、当社は3営業日。

たとえば月曜の午前中に当社に検体が届けばその日のうちにアメリカへ送り、水曜日の午前中にはFAX等で検査結果を速報、午後には正式な結果報告書を郵送しています。

また料金も日本ではアスベストの有無だけを判断する定性分析だけでも1検体3万円以上かかるところが多いのですが、当社では含有率を分析する定量分析まで含めて2万4000円で提供しています。

日本でも進む規制強化


−−このお仕事を始められたきっかけは何ですか?

当社を設立したのは、現役の時の同僚なんです。私は一級建築士としてずっと建設関係の仕事をしてきたので、当初は自分の人脈を通じてアメリカの分析研究所を紹介するなどアドバイザー的にかかわっていたんですね。

ところが5年ほど前に知人が引退して帰郷することになり、後任を頼まれて引き受けたというのがこのビジネスにかかわることになった経緯です。


−−お取引先は全国にあるのですか?

自分たちで検体を取りに行くわけではなく、現場の方が採取して送ってくれればいいのでご依頼は全国から来ています。


−−どんな業種のお客様が多いのですか?

ハウスメーカーさんや大手のリフォーム事業会社さん、中にはエレベーター会社さんもいらっしゃいます。エレベーターって必ず耐火被覆という処理をしなければいけないのですが、かつてはそれにアスベストが含まれていたケースが多いからです。

大手ハウスメーカーさんの中には自前でアスベスト分析を行う研究所を持っておられるケースもあるのですが、ISO17025試験所のデータであり信頼性が高いこと加えて、コストメリットが大きいという理由で当社にご依頼いただいています。

アスベストをめぐっては日本でも規制強化が進んでいて、2021年4月からは大気汚染防止法の改正などにより事前調査の強化や届出など、より厳しいアスベスト規制が始まることになります。大きな転機の年になるのではないでしょうか。

健康被害ゼロを目指して


−−今後の課題はどんなことでしょうか?

アスベスト飛散のリスクに直面されているすべての方に、その危険性を理解していただくことです。

当社のお客様は、今のところ95%が大手企業です。そういう企業さんはアスベスト対策もしっかりされているし、万一健康被害が発生したとしても会社としてきちんと対応されるでしょう。でもそれ以外の、解体や改修の現場で仕事をされている中小の事業者さんはどうでしょうか。危険な現場で危険な作業を続けている方も少なくないかと思います。

そういう現場の分析を、どんどんご依頼いただけるようになればいいですね。


−−どういった方々に関心を持っていただきたいですか?

リフォームや解体の仕事にかかわる方、断熱などの工事をされている方、エレベーターなど建物の設備のメンテナンスをされている方。それから不動産業の方、マンション管理をされている方など、より多くの方に当社の事業に興味を持っていただきたいと思います。


−−今後の展開に向けた思いをお聞かせください。

アスベストによる健康被害を被る可能性のある方を一人でも少なくしたい。私のエンジニアとしての最後の使命はそこにあると思っています。もうかなりの高齢ですから私利私欲などなく、少しでも社会に貢献できれば嬉しいですし、そのために尽くしていきたいですね。

さいごに

アスベストの分析サービスというビジネスに社会的意義を感じて邁進される、伊勢社長の熱い思いが伝わってくるお話でした。

アスベスト分析へのニーズ、ご興味がございましたら、下記の会社ページからご連絡をお願いいたします。

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